原状回復で元請け案件を取る方法|下請けから抜ける4つの入口

更新日 2026-09-20

元請け案件を取る入口は、大きく4つです。管理会社・PM会社の協力業者登録、自社サイトと地域検索、案件紹介サイト、テナントの退去情報に早く触れる経路。お金がかからない入口ほど時間がかかり、早い入口ほどお金がかかります。人手と資金に合わせて、1つか2つに絞って始めるのが現実的です。

先に確認:元請けになると増える責任

元請けは、単価が上がる代わりに責任も増えます。入口を選ぶ前に、次の3点に対応できるかを確かめてください。

  • 産業廃棄物の処理責任。建設工事で出た廃棄物は、注文者から直接請け負った元請業者が排出事業者になります(廃棄物処理法第21条の3)。下請けのときは元請けが持っていたマニフェストの交付と処理の管理を、自社でやることになります。
  • 石綿(アスベスト)の事前調査と報告。改修工事は、請負代金の合計が100万円以上(税込)なら、元請業者が事前調査の結果を報告します。
  • 建設業許可。建築一式以外の工事で、1件の請負代金が500万円以上(税込)なら許可が要ります。オフィスの原状回復は広さによってこの線を超えます。

加えて、見積もり、現地調査、テナント・ビル側との段取り、工事後の報告書まで自社で回すことになります。現場は強いが事務が回らない会社は、ここが最初の壁です。

4つの入口を一覧で比べる

入口 かかるお金 最初の元請け案件までの時間 向いている会社
①管理会社・PMの協力業者登録 ほぼ営業の人件費だけ 長い(登録後、試しの小工事から) 少額でも速く丁寧に回せる会社
②自社サイトと地域検索 制作費と更新の手間。Googleビジネスプロフィールは無料 長い(事例がたまるまで) 施工事例と写真を出せる会社
③案件紹介サイト 月額・反響課金・成約課金のどれか 短い(登録後すぐ案件を見られる) 返信と現地調査を速く出せる会社
④退去情報に早く触れる経路 営業の人件費と紹介のお礼 中くらい(関係づくり次第) 社長が自分で動ける会社

時間は目安の比較です。地域と会社の実績で大きく変わります。

①管理会社・PM会社の協力業者登録

管理会社やPM会社は、管理物件の退去が出るたびに工事業者を手配します。協力業者として登録されれば、繰り返し仕事が来る入口になります。

多くの管理会社はホームページに協力会社の募集ページを置いています。たとえば、商業・事業用ビルを管理する株式会社総合施設管理の募集ページは、清掃・設備メンテナンス・工事・設計の業種を選んで申し込む形式です。登録の条件は会社ごとに違うので、申し込む前に募集ページで確かめてください。

お金と時間

直接かかるお金は、営業に使う時間くらいです。一方で、登録してもすぐに大きな工事が来るとは限りません。最初は小さな補修や、急ぎの案件で試されることが多いと考えておくのが無難です。

注意点

管理会社経由の仕事は、管理会社が注文者です。テナントから直接請けるより単価の交渉余地は小さくなりがちです。それでも、支払いが安定していて、案件が途切れにくいのは利点です。

向いている会社

小さな仕事でも断らず、連絡と報告が速い会社です。写真付きの完了報告を毎回出せると、次の依頼につながりやすくなります。

②自社サイトと地域検索

テナントの総務担当やオーナーは、「原状回復 地域名」で検索して業者を探します。検索に出る場所に自社の情報があることが、元請けの入口になります。

お金と時間

Googleビジネスプロフィールは作成も掲載も無料です(Google公式の説明)。地図検索に出るので、まずここを整えるのが費用対効果のよい一歩です。自社サイトは制作費がかかり、更新にも手間がかかります。

問い合わせが来るまでには時間がかかります。載せる施工事例が少ないうちは、検索に出ても選ばれにくいからです。

何を載せるか

  • 施工事例:物件の種類、広さ(坪)、工期、工事範囲、工事前後の写真
  • 対応エリア:市区町村まで
  • 許可と体制:建設業許可の番号、産廃の処理方法(自社で収集運搬の許可があるか、許可業者に委託か)、賠償責任保険
  • 見積もりの出し方:坪単価だけでなく項目別に出すこと

下請けで施工した現場は、元請けの了解なしに事例として載せないでください。取引先との関係を壊します。

向いている会社

写真と記録を残す習慣がある会社です。地域を絞った事例の数で勝負するので、対応エリアが狭い会社でも戦えます。

③案件紹介サイト

お金を払って、発注者の依頼を受け取る入口です。料金の取り方は大きく3つに分かれます。

  • 月額:毎月決まった額を払う。案件が多い月は1件あたりが安く、少ない月は高くつく。
  • 反響課金:案件を受け取る、または応募するたびに払う。受注できなくてもかかる。
  • 成約課金:受注できたら工事額の何%かを払う。外れのリスクは小さいが、大きな工事ほど手数料も大きい。

各社の料金(公式ページで確認できた範囲)

サイト 料金の取り方 公式ページに書かれている内容
ツクリンク 無料プランと月額の有料プラン 無料で自社ページの作成・募集投稿・応募ができる。有料はベーシック月額20,000円(個人事業主)/36,000円(法人)から。税込か税抜かの表記はなし
ミツモア 成約課金・応募課金・両方の組み合わせ 登録料と月額は0円。成約課金型の手数料率は16.5〜38.5%(税込)。組み合わせ型は案件紹介料1,650〜33,000ポイントと成約時8.8〜11%(税込)。どの型になるかはサービスごと
EMEAO! 紹介手数料 業者から受け取る紹介手数料で運営していると書かれている。金額は公開されていない。発注者には最大8社を紹介
比較ビズ 公開されていない 受注側のページは「利用無料」の表示で、詳しい料金は資料請求後の案内

確認日は2026年9月20日です。料金は変わることがあるので、申し込む前に各社の公式ページで確かめてください。

ツクリンクは、建設会社どうしが工事を発注・受注するサイトです。テナントから直接の依頼というより、元請け会社からの募集が中心になります。下請けの取引先を増やす場としては使えますが、元請け化の入口としては性質が違います。

選ぶときに見る点

  • 1案件に何社が競合するか。社数が多いほど、受注できる確率は下がります。
  • 案件にどこまで情報が載っているか。物件の種類、広さ、退去日、工事範囲が分かれば、行くかどうかを決められます。
  • 受注できなかったときにお金が戻る条件があるか。
  • 運営が特定の業者を優先して紹介する枠があるか。

向いている会社

問い合わせに当日中に返し、現地調査の日程をすぐ出せる会社です。紹介サイトの案件は他社と比べられるのが前提なので、返信の遅れはそのまま失注につながります。

④テナントの退去情報に早く触れる経路

オフィスの解約予告期間は、一般的に6か月程度です(コクヨマーケティングのコラム)。テナントは退去の半年ほど前から、移転先探し、新オフィスの内装、今のオフィスの原状回復を並行して進めます。この時期にテナントと接点を持つ会社とつながれば、見積もりを頼まれる機会が生まれます。

接点を持つ会社

  • 事業用の仲介会社:移転先を探す段階で、テナントの退去を最初に知る立場です。
  • 移転先の内装会社・オフィス家具の会社:新オフィスの工事を請ける会社です。旧オフィスの原状回復は自社でやらないこともあり、紹介し合える関係を作れます。
  • 引越し会社・不用品回収の会社:残置物の処分で現場が重なります。

電話で営業するなら、テナントに直接かけるより、こうした会社に「旧オフィス側の原状回復を請けられる」と伝えるほうが話を聞いてもらいやすい、というのが筋です。ただし反応率を示す公開データは見当たりません。電話する前に、対応エリア、得意な物件、許可と保険、過去の工事の写真を1枚にまとめておくと話が早く進みます。

ビル指定業者の見積もりが高いテナント

大きなビルでは、ビル側が指定した業者の工事(B工事)があり、テナントが業者を選べない範囲があります。減額交渉を事業にしている団体の集計では、指定業者の初回見積もりの中央値は100坪未満で坪約10.3万円、交渉後の合意額は坪約5.8万円でした(RCAAの公開データ)。交渉する側の数字なので幅は大きめに出やすいと考えてください。それでも、テナントが別の業者の見積もりを比べたいと考える場面はあります。テナントが自分で業者を選べる範囲(C工事)の見積もりを出せることは、元請けで話を始めるきっかけになります。

向いている会社

社長か営業担当が自分で人に会える会社です。お金はあまりかかりませんが、紹介が紹介を呼ぶまでに時間がかかります。紹介を受けたら、結果を紹介元に必ず報告してください。

どれから始めるか

  • 人手が少なく、すぐ売上が欲しい:③から。受け取る案件を選べる料金の取り方を選ぶ。
  • 現場は回せるが営業が弱い:①と②。事例を積みながら、管理会社の小さな仕事を確実にこなす。
  • 社長が動ける:④と②。紹介でつながった会社に、自社サイトの事例を見せられる状態にする。

どの入口でも、選ばれるかどうかは見積もりの速さと分かりやすさで決まる部分が大きくなります。項目別の見積書、写真付きの現地調査報告、工程表の3点を、下請けのうちから自社の型にしておくと、入口が変わっても使い回せます。

このサイトの業者登録について

このサイトでは、オフィスや店舗を退去するテナント、オーナーから届いた原状回復の見積もり依頼を、登録業者にお知らせしています。登録は無料で、お知らせを見て受けたい案件にだけ申し込めます。料金がかかるのは申し込んだときだけで、料金は案件の規模で決まります。

案件の規模(税抜の工事額)案件1件の料金(税抜)
〜50万円1社 5,000円
50〜300万円1社 10,000円
300万円〜1社 20,000円

1案件につき3社まで。運営の優先枠はありません。月額プランは19,800円(税抜)。3件買って1件受注、または累計5件購入で月額プランへ移れます。

お問い合わせの受付は準備中です

案件のお知らせと業者登録の受付は準備中です。準備ができしだい、このページでお知らせします。